安倍首相がついに「一人10万円の一律給付」に転換

日本の安倍首相は、2020年4月16日に新型コロナウイルス対策として「国民一人当たり10万円の一律給付」を行う方針を決定し、「30万円の限定給付」を前提としていた補正予算案を組み替えるよう指示しました。

新型コロナウイルス対策給付金は世帯単位の限定給付から一律給付へ

パンデミックを起こしている新型コロナ対策として、国民生活を支えるために行う給付措置は世界各国が導入しています。日本でも政府が現金給付を行う方針を示したのですが、当初は「貧困世帯に対する限定的な世帯給付」を想定し、補正予算が組まれました。

しかし、世帯単位さらに住民税非課税世帯など給付対象を極端に絞る政府の限定給付案(想定給付対象1000万世帯)に対しては、野党さらには与党の一部からも強い反対が出され「国民一人一人を対象とする一律給付」を求める声が高まります。政府は、そうした世論が高まる中でも頑なに「世帯単位の限定給付」に固執していましたが、最後は連立を組む公明党の強い態度に折れて一律給付を決める形になりました。

安倍首相は給付金をめぐる混乱を謝罪

政府の新型コロナウイルス対策は、これまでも後手後手に回り不十分とする指摘が相次いでいたところに、今回の一律給付の決定に至る混乱。さすがに安倍首相もまずいと思ったのか、17日の記者会見では以下のような発言をしています。

国民の皆様と共に乗り越えていく。その思いで、全国全ての国民の皆様を対象に、一律に1人当たり10万円の給付を行うことを決断いたしました。収入が著しく減少し厳しい状況にある御家庭に限って、1世帯当たり30万円を給付する措置を予定しておりましたが、国民の皆様から寄せられた様々な声、与野党の皆様の声も踏まえまして、更に給付対象を拡大することといたしました。

これに伴って、現金給付の総額も、これまでの6兆円から14兆円を上回る規模へと大幅に拡大することとなります。補正予算の編成をやり直すこととなるため、更に1週間程度の時間を要することとなりますが、速やかな国会成立に向けて御協力をお願いしたいと思います。

ここに至ったプロセスにおいて混乱を招いてしまったことについては、私自身の責任であり、国民の皆様に心からおわびを申し上げたいと思います。

一律給付に否定的な麻生財務相(財務省)

一律給付を決めたはずの政府ですが、副首相を務める麻生財務相は「手を挙げた人に給付」「富裕層は受け取らない人も」などと発言し、今後のさらなる混乱に懸念を抱かせています。

「全国全ての国民」を対象とする一律給付が実際にスムーズに行われるか否かは、財務省の姿勢次第、ということなのかもしれません。

新型コロナウイルス対策としての給付金は、経済政策ではありません。国民全体を支えて乗り切るための生存政策なのですから、まずは届きやすくすることを第一に進めてほしいところです。