アメリカ経済指標(雇用統計)の値動きを取る

日本時間の午後9(冬時間なら10)時30分は、FXトレーダーにとって「勝負」の時間です。

アメリカの雇用統計で稼ぐFX戦術

この時間に、アメリカの雇用統計(失業率、雇用者数)や新規失業保険申請数といった重要経済指標が発表されるんですよね。そして、発表された瞬間に為替相場が一気に数十銭、場合によっては1円以上も動くことが多いのです。

特に、アメリカの雇用統計はQEの緩和や継続、金利動向などアメリカの金融政策の「根拠」とされる指標だけに、為替市場や株式相場に与える影響は絶大です。FXで稼ぐなら、まずアメリカの雇用統計で大きく動く相場を「取れる」ようにならないといけません。

雇用統計の発表前後に米ドル/円チャートを見ていると、数十銭の値動きで「行って来い」になることが多いことに気づくでしょう。特に大きな「サプライズ」でもないのに、勢いよく上下に動いた後、戻ってくる。これは何なのでしょうか?

為替相場の参加者は、それぞれの「意思」を表明するわけではないので推測するしかないのですが、まぁ「材料で尽くしによるクローズ」「思惑買いのストップロス/利益確定」でしょうね。何らかのサプライズを予見し(賭け)ていた大口投機筋が、「想定の範囲内」の雇用統計を見てポジションを整理する、オプションやFXで為替の変動リスクをヘッジしていた投資家がイベント終了に伴い反対売買を行って決済する、ポジションの整理の動きで生じた「値動き」によりストップロスが刈られ、値動きを増幅していく……

こうした「整理」の動きが中心になっているから、一段落すればあたかも経済指標そのものが「なかった」かのような水準に戻ってくるわけです。それも当然ですね。経済指標が「想定の範囲内」なら、為替相場を「正当化」する根拠になんら変化がない、つまりは発表前の水準が正当化されることになるわけで。

ですから、FX取引で収益を上げるとしたら指標が「サプライズ」にはあたらないことを確認した上で「異常な水準」から「通常の水準」へ戻る過程の値動きを取るのが有効です。証券会社やFX取引システムで配信されるニュースを見ながら、米ドルを中心に為替市場の「値動きの方向」を確認し、FXの新規ポジションを取るタイミングを待ちましょう。。

具体的には、指標の発表直後、勢いよく上下に揺れますが、それが落ち着いた段階で、相場が動いた方向と逆(ドル安になったのならドル買い円売り、ドル高になったのならドル売り円買い)の取引でエントリーします。

経済指標の発表直後、数分の間米ドルを中心に「一方的な値動き」が続いた後、その「勢い」が失われ戻っていく。そこを狙いましょう。FXの取引画面で注文を入力した状態で、米ドルのチャートを見ながら上値/下値の目安を探り「跳ね返された」と感じたら、発注する感じですね。

アメリカ雇用統計で荒れる相場ではリスク管理の徹底を

まだ勢いが残っている可能性もあるので、ストップロスは少し広めにしておきたい所です。ただ、指標の発表が「材料出尽くし」感を強めサプライズがなくても「相場のトレンド」そのものが変わる可能性もないわけではありません。その場合は、広めのストップロスで損失を拡大させる可能性が高くなってしまいます。

逆指値を入れる水準の判断が難しいところですが、FX取引でボラティリティの高い相場を「生き残る」ためには、あまりリスクはとらない方が良いでしょう。

アメリカの雇用統計は、(市場の期待)金利にも影響を与えるので、アメリカとの金利差が注目されやすいユーロの値動きも見ると相場のトレンドを見やすくなる場合があります。

ギャンブラーなら、一方に動き出した瞬間にエントリーして吹き値に飛び乗るのでしょうけど、これはハイリスクです。ほとんど秒単位のタイミング勝負ですから。しかも、相手は高性能コンピュータと高速回線で秒間何万件ものアルゴリズム取引を行うヘッジファンドや専業FXトレーダーなどの大口投機筋。ちょっと分が悪いですね。