だましと相場の勢い(トレンド)

為替相場がしばらくこう着状態、あるいはレンジ相場を続けた後、上値/下値を抜いた。テクニカル分析に取り組むFXトレーダなら、チャートに現れた典型的なシグナルを見て、思わず注文ボタンをクリックしそうになる局面ですね。

テクニカルな買い/売りシグナルとだまし

しかし、そうした「典型的な買いシグナル/売りシグナル」を手がかりに取ったポジションは、うまく「収益」をもたらすでしょうか?

上値や下値を抜いた後、そのすぐ近くでこう着状態に入ってやがて元の水準に戻る。こうしたテクニカル分析のシグナルに反する相場の値動きは、「だまし」と呼ばれます。チャートを見てポジションを取っても、すぐにだましにやられてロスカットせざるを得なかった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

レバレッジをかけるFX取引では、「想定外の相場」に入ったら執着しないでロスカットするのが鉄則ですから、やむをえないことではあるのですが、そうした長時間拘束された挙句のロスカットが続くと、精神的にかなり辛いものがあります。

持ち合い相場に現れやすい「だまし」シグナル

レンジ相場や持ち合いをブレイクした後、すぐに元の水準(レンジ圏)に戻ってくる「だまし(騙し)」。抵抗線をブレイクアウトして、相場が動くと思ったのに実際にはそうはならない。チャート上の偽サイン(シグナル)に騙されるわけですね。

こうしただましは、方向感のないレンジ相場が続く局面に多く出てきます。レンジ相場や持ち合いが多発する「相場の勢い(トレンド)」がない局面です。

為替相場にトレンドが出ていない状況では、市場参加者もレンジの「外側」で取引する「先高感」「先安感」を持ちにくいでしょう。そして、そうした市場参加者の迷いがさらに相場の膠着感を強め、一時的にレンジをブレイクしてもその「方向性」が持続しないため、だましが続出するわけです。

「持ち合いをブレイクした(放れた)ら付いていけ」という相場の格言があります。しかし、その格言には「前提条件」があるのではないでしょうか。

その前提条件は、新しいトレンドが生まれ持続することです。これは当然のことですが、短時間のチャートだけを見ていると意外に忘れがちですね。

持ち合い/レンジ相場のブレイクアウトは相場の勢いで見る

レンジ相場や持ち合い相場からのブレイクアウトを狙ってFX取引のポジションを取るのなら、だましが出やすい相場環境でないことを確認しておきましょう。少し長めのスパンでチャートを見て、一定の値幅とトレンドが出ていることを確認するのです。

値動きの勢い(エネルギー)を感じられる相場であれば、トレンドも出やすいですし、だましでロスカットを強いられてもまたすぐにチャンスがやってきます。

逆に、値動きが小さくレンジ相場や持ち合い相場を繰り返す状況なら、抵抗線をブレイクしたように見えてもだましに終わる可能性が高い。新規ポジションをとっても、「トレンドに乗る」どころか、長時間いらいらさせられ最終的にはロスカット、という羽目になる可能性が高いでしょう(そもそもトレンドが生じにくい状況なのですから)。

相場の勢いはチャートだけでなく、ニュースもあわせてみていると、より感じ取りやすくなります。経済/財政周りで「動き」が目立つなら、当然為替トレーダーもそれに乗ろうとしますしね。FXサイトでは、相場ニュースが提供されていることも多いので、ログインしたらまずチャートとニュースをあわせて確認する習慣を身に着けたいものです。