実質金利

実質金利とは、名目上の金利(債券の額面や契約上の名目金利)から物価上昇率を差し引いた実質的な金利。

インフレ(物価上昇)で実質金利は低下する

通貨の価値は、ものとの交換価値で決まるので、物価が上昇すると通貨の価値は低下する。このため物価が上昇する場面で現金を貸し出して物価が上昇した後に名目金利を付けて返済されると、実質金利は物価上昇による通貨価値の低下で相殺されることになる。

物価上昇の勢いが強いと、名目金利が高くても債券から得られる収益は減少、あるいはマイナスになることもある。たとえば物価上昇率が年10%を超える状態で年10%の金利を受け取れる債券を購入すると実質金利はマイナスで、収益は上がらない。

このため物価上昇局面では実質金利の低下で債券保有のリスクが高まるため債券が売られ、名目金利が上昇しやすくなる。理論上は金融市場における債券の名目金利が、物価上昇の期待値を上回り一定の実質金利を見込める水準まで上昇するわけである。

逆に物価が低下するデフレ局面では、現金の価値が高まっていくため名目金利が低くても実質金利は向上し収益を上げることができる。ただし、物価が低下するデフレ局面では債券市場が縮小し、企業収益も縮小均衡に陥るため、そもそも金融収益を上げること自体が困難になるが……

近年は、世界的なデフレ傾向の中で世界各国で政策的に金利を引き下げたり中央銀行が金融資産を購入する金融緩和が行われている。物価が上がらず、中央銀行による国債などの購入(債券購入によって額面を上昇させ金利を低下させる)で名目金利も抑制されているため、名目/実質とも金利が低下する傾向にある。