法的整理

法的整理とは、過大な負債で債務超過に陥ったり業績が低迷するなどして、自力で事業を継続することが困難になった企業が、民事再生法や会社更生法、破産法など法律の枠組みの中で再生や清算を行うこと。

法的整理に入った企業は、裁判所や管財人の管理下で債権者と交渉を行って債務を整理し、資産の売却などを進める。株式市場に上場している株式会社の場合は、上場廃止基準に抵触して上場廃止になる可能性が高い。もっとも、債権者に債権放棄を求める課程においては企業価値はほぼゼロと見なさざるを得ず、株価自体が意味を失っているとも言える。

法的整理においては、株式に投資する投資家の立場はきわめて弱い。法的整理の発表後に「マネーゲーム」と化した株式に手を出す際は、あくまでも投資ではなく高リスクの投機ゲームであることを十分に認識する必要がある。一見、収益事業を抱え将来の再建が見通せる場合であっても、債権者の保有する債権を株式化したり大規模な増資を行って資本増強を迫られたりすることで、株式が著しく希薄化し、株価も暴落するリスクがある。
さらに上場廃止になれば、「株価」が付けられ取引できるという市場性(流動性)そのものを失い配当も期待しにくいことから、資産としてはほぼ無価値となろう。

法的整理は、債権者の融資を整理すると同時に投資家に対しては投資した資金を事実上放棄するよう求めるものと言えるかもしれない。法的整理によって無価値とされた投資に対しては、将来その企業が再生したとしてもその収益が分配されることはないのだから……

民事再生ではなく破産の場合は、清算によって投資資金を回収することはほぼ不可能である。

近年は、大企業の破綻が相次いで民事再生や破産の適用により多数の株主が被害を受けている。最近の動向としては、巨額の賠償が予想される東京電力を法的整理すべし、との声が上がり議論になった。東京電力は典型的な「優良デフェンシブ株」として多くの投信や年金などが保有していたため、東京電力の株価暴落と法的整理議論の行方の影響は計り知れない。