資産運用型の毎月分配投信

本来の「投資」的な考え方から言えば、毎月分配型の投信は

高配当株式や高利回り債券、不動産などの収益資産に投資して、収益を分配する

仕組みであるべきでしょう。「預けられた資金を収益資産に投資し、収益をあげられたらその収益の一部を分配する」仕組みです。

もっとも、この収益の分配にもインカムゲイン中心か実現利益中心か、という考え方の違いはありますね。まずは、この資産運用型ともいうべきインカムゲインと実現利益に基づく分配金を見てみましょう。

インカムゲインの分配

インカムゲイン獲得の発想から言えば、投信の分配金の原資は株式の配当や金利、不動産賃料など「資産から入ってくる収益」です。そして、その収益を高い割合で分配する。資産価格が低下していれば投信の純資産(基準価額)も低下しますが、その状況においても収益分の分配を行い投信の純資産がさらに低下するのを許容する考え方です。

これは、自ら運用して配当や金利を受け取る場合に近い方式で、「インカムゲイン投資」の基本に忠実なやり方でしょう。長期保有の場合は、分配金による収入が安定しやすい(資産価格が下がっても、配当や賃料はそれほど急激には低下しない)という利点もあります。

実現利益の分配

一方、実現利益を分配する考え方では、あくまで「資産からの収益と資産価格の変動」を合わせた実質的な投資利益を分配の原資とします。収益がある程度上がっていても資産価格が低下していれば分配を行わない、逆に資産価格が上昇していたら資産からの収益に加えて資産価格の上昇分も分配するわけです。

こちらは、実質的な収益に着目して資産を守る発想ですね。相場の状況により分配金の水準が大きく変動しますが、投信の純資産が増えなければ分配を行わないので投信(自分の資産)の価値は安定します。ちょうどインカムゲイン中心の分配とは逆になるわけです。

投信の純資産も分配金も「自分の資産」

もっとも、分配金もまた「自分の資産」であることに変わりはありません。分配金を受け取るということは、投信の評価額から現金へと「資産の形」を変えたに過ぎないわけです。ですから、どちらが得か、ではなく、どちらが自分の状況にあっているか、という観点で投信の分配金の性質を見てみるのが良いのではないでしょうか。

アパート経営で家賃収入を得たり株式の長期投資で配当を受け取るようなインカムゲイン投資をイメージし安定的な「収入源」を望むのならインカムゲイン型、資産形成の一環として投資信託を積み立てる形なら一部に実現利益の範囲で分配金を受け取る形の投信を入れて「定期的な利益確定」を行うのもよいでしょう。