カバードコール戦略

オプションで追加収益を狙うカバードコール戦略

カバードコール戦略とは、保有する金融資産のコールオプションを売ることで、オプション取引のプレミアムを追加収益とすることを目指す投資戦略。自らの保有資産を高値で買う権利(コールオプション)の売り方となることで、「保有資産が値上がりしなかった場合の追加収益」を得ることができる。

たとえば日経平均株価指数(に連動する金融資産)を保有している場合、日経平均株価指数21000円のコールオプションを売る。権利行使日の日経平均株価指数SQ値が21000円を超えない、もしくは超えてもその差額がオプションを売った時のプレミアム未満であれば、オプションプレミアムを収益にできる。

また、日経平均株価指数が下落してもオプションプレミアム分はヘッジされている(損失がカバーされる)状態となる。

一方、21000円を超えて値上がりしていると、差金決済で超過分の差額を買い方に渡すため(オプションの売りで得たオプションプレミアムを上回った時点で)オプション取引による損失が生じる。ただし、同時に「自らの保有する日経平均株価連動資産」も値上がりするため、全体としてみれば損失にはならない。オプション取引の損失は、保有資産の値上がりによる利益で相殺されるためである。

つまり、カバードコール戦略による保有資産の量以下のコールオプション売りであれば、その損失はカバーされている状態とみなせる。

カバードコール戦略で収益を安定化

以上のことから、カバードコール戦略は「保有資産の値上がり益を限定(一定以上の値上がり益を放棄)する代わりに、横ばい/下落局面でも収益を得やすくする」戦略といえる。積極的に値上がりする資産を探し出して投資するのではなく、高配当株式や高金利通貨などの収益資産を保有しながら収益を多様化したり収益資産の値下がりリスクを軽減するのに適した投資戦略である。

インカムゲイン重視のポートフォリオを構成し、その中でも値動きが安定している一部資産に対してカバードコールを行えば、オプションのプレミアム収入による利回り向上とリスク軽減を狙うことができる。分配金による定期収入を売りにする毎月分配型投信では、こうしたカバードコール戦略を採用し、高い分配利回りを実現しているものもある。

カバードコールのリスク

収益資産を保有しながら追加収益を目指すカバードコールは、「自らの保有資産を買う権利」を売る取引のため、通常のオプション売りポジションよりはずっと低リスクと言える。

ただし、市場状況によってはSQ値(以上)の値段で保有資産を処分できないまま値下がりに転じる可能性もあり、その場合はSQ値と市場の時価が損失になるリスクが残る。

また、オプション取引の手数料や証拠金といったコストがかさむと、収益を伸ばせなかったり損失になる可能性もある。