債務超過

債務超過とは、負債が資産を上回っている状態のこと。現時点で資産を(帳簿上の評価額で)処分して債務を清算した場合に、債務を全額返済するだけの資金を得ることができず債務が残ることを意味する。形式的には、貸借対照表に記載される債務が資産を上回っている状態。

ただし、不動産や有価証券などは評価額と市場価格が乖離している可能性があり、貸借対照表による評価(簿価)だけでは実質的な債務超過状態か直ちに判断できない。発電や通信関連のインフラ、工場など換金性の低い資産を多く抱えている企業は、資産の中身をよく検討する必要がある。

債務超過は資産としてはマイナスの状態なので、発行体の企業が保有する資産を元に株価を計算した場合、算出される株価はゼロ(無価値)となる。債務超過の状態で企業が解散すると、残余財産が生じない(資産はすべて処分され債権者に分配される)可能性が高い。この場合、株主には残余財産分配請求権が発生せず、株主には何も残らないことになる。

債務超過に陥ると、新規の融資を受けることも困難となり監査において「継続企業の前提に重要な疑義」がある、とされる可能性が高まる。継続企業の前提に重要な疑義が付される状態が継続すると、上場企業においては上場基準に抵触し、上場廃止となるリスクがある。また、法的整理が行われ既存株主の投資が大きく損なわれる可能性も高まってくる。

債務超過の解消のために増資による資本増強が行われ、大幅な株式の希薄化を招くことがあるため、債務超過あるいは純資産が過小の企業に投資を行う場合は注意が必要。一方で、債権放棄などの救済策がまとまると株価が急騰することもある。