日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)

日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)は、日本の株式への投資を基本に高金利通貨への投資とカバードコール戦略のオプションプレミアムで追加収益を目指す毎月分配型投資信託です。

日本株アルファ・カルテットの基本的な戦略としては、日本の株式を保有すると同時にTOPIXのコールオプションを売ります。これにより、コールオプションの売却代金(プレミアム)の収入を確定させ、また将来的に生じ得るオプションの権利行使に対する債務を株式の保有によりヘッジするわけです。

このアクティブに日本株を買って平均的な株価指数(TOPIX)を実質的に売る手法は、一種の「ロング・ショート」運用とも言えますね。

カバードコールでは、オプションを売ることで「追加収入」が得られ、その収入は「相場が値上がりしなければ」確定します。つまり、「相場の大きな上昇があっても利益の一部を取りこぼす可能性があるが、相場が大きく値上がりしなければオプションプレミアムを追加収入にできる」ことになるわけです。毎月分配型投信のような「大きな値上がり益より定期的な分配金収入を目指す」投信にとっては、有効な戦略かもしれませんね。

日本株アルファ・カルテットでは、カバードコールの残高は純資産総額の50%程度とされていますので、カバードコールによって大きな損失を出すリスクはそれほど高くはなさそうです。

高金利通貨への投資は、高金利通貨であるレアルの買いポジションを持ち、同時にレアルのコールオプションを売るカバードコールも行っています。高金利通貨からの金利収入とオプションプレミアムを分配のための原資とするわけですね。コール売りによるオプションプレミアムは「レアルが上がらなければ」収益として確定できるので、為替市場におけるレアル値下がりに対する一定のヘッジ効果も期待できます。

日本株、日本株コールオプション売り、高金利通貨、高金利通貨コールオプション売り。4つの収益源を持つ日本株アルファ・カルテットは、設定以来かなりの好成績を納め分配利回り(月300円)も高水準です。販売している証券会社や銀行の投信売上ランキングを見ても、上位に入っていますね。

カバードコールという「普通の人」には困難な金融デリバティブを活用するこのような運用手法は、まさに「機関投資家、プロに運営を任せる投資信託」の典型と言えるでしょう。「高度な金融デリバティブ」を活用しながらも、その目的はリスクヘッジと(裏付け資産を保有した上でのコールオプション売りというある意味消極的な)追加的な収益の確保というインカムゲイン獲得戦略の王道ともいうべきものです。

こうした王道的な運用方針を持つ日本株アルファ・カルテットの分配利回りは年40%程度に相当しますが、収益も年20%程度あるので「取り崩し型」毎月分配型投信としては安心感もあります。不安材料としては、アメリカの金利上昇による高金利通貨や株式の下落ですが、カバードコール戦略でヘッジ効果が期待できる分、通常の通貨選択型投信に比べれば影響は限定されるかもしれません。